Power BIで利益率を算出!DAXで作る高度なレポート活用法

前回までに、Power BIでデータを取り込み、グラフやマトリックスで「売上の見える化」を行いました。
次の課題は「利益率」のように、データに直接存在しない指標を算出することです。
例えば、
・売上は多いが利益率が低い商品
・利益率の高い店舗やカテゴリー
を把握できれば、営業戦略や仕入れの見直しに直結します。
そのために使うのが、DAX(Data Analysis Expressions) です。
DAXとは?計算列とメジャーの違い
DAXは、Excelの関数に似た式で新しい項目を作成できる仕組みです。
Power BIでは、以下の2つの方法でデータを加工できます。
計算列(Calculated Column)
各行ごとに計算した値を列として追加。データに新しい属性を付与できる。
メジャー(Measure)
集計時に動的に計算される指標。比率や平均値など、条件ごとに変動する分析に使う。
たとえば「利益率」は、個別の行に追加しても正しい集計にならないため、メジャーとして作成するのが適切です。
利益率を求めるステップ
利益率を計算するために必要な項目は、以下の流れで導きます。
仕入価格 = 仕入単価 × 数量
利益 = 売上金額 - 仕入価格
利益率 = 利益 ÷ 売上金額
このうち、仕入価格と利益は「計算列」で作成し、利益率は「メジャー」で作成します。
DAXを使うと、例えば以下のように表現できます:
仕入価格: 仕入価格 = LOOKUPVALUE('商品データ'[仕入単価], '商品データ'[商品コード], [商品コード]) * [数量]
利益: 利益 = [売上金額] - [仕入価格]
利益率: 利益率 = DIVIDE(SUM('売上明細データ'[利益]), SUM('売上明細データ'[売上金額]))
計算式とメジャーの作成
レポートへの活用
作成した「仕入価格」「利益」「利益率」をレポートに追加すると、
・商品別・店舗別の利益率を一覧で確認
・利益率の高い店舗や商品の特定
・利益率の低いカテゴリーの把握と仕入れ見直し
が可能になります。
さらに、グラフに切り替えれば、利益率の高い商品や店舗を直感的に把握できます。
計算式とメジャーのレポート利用
計算列とメジャーの使い分けのポイント
・計算列は、データの属性追加や行ごとの値が必要なときに使う
・メジャーは、集計結果や比率など、動的な指標を求めるときに使う
この使い分けを理解すると、売上だけでなく「利益」「効率」「成長性」といった経営に役立つ視点でデータを分析できるようになります。
まとめ:ポイント
- DAXを使えばデータに存在しない指標も算出可能
- 計算列は「属性の追加」、メジャーは「集計で変わる値」
- 利益率を算出することで、売上に加えて利益構造を分析できる
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