スマホでできる!中小企業のためのMDM基本機能解説
前回の記事では、中小企業がMDM(モバイルデバイス管理)を導入する目的と効果について整理しました。
「情報漏えい防止」「監査対応」「ハイブリッドワーク対応」「運用工数削減」といった観点から、MDMが中小企業にとって有効な仕組みであることをご紹介しました。
では、実際にMDMを導入すると どのようなことができるのか?
本記事では、中小企業がまず押さえておきたい 基本機能 を解説します。導入時にありがちな「過剰管理」の失敗を避けるため、最小限で効果が高い機能から順に見ていきましょう。
必須のセキュリティ機能:ロックと暗号化
スマートフォンやタブレットを安全に利用するための第一歩が、端末のロックと暗号化 です。
- 画面ロック・パスコード要件
→ 社員が勝手に簡単なパスワード(「1234」「0000」など)を設定しないよう、複雑さや桁数を強制できます。
→ 指紋認証や顔認証と組み合わせることで利便性を損なわずに強化可能。 - 端末暗号化
→ 万一端末が盗まれても、内部のデータを読み取れないようにする。
→ 法令対応(個人情報保護法や取引先要件)でも必須とされるケースが増加。
これらはMDMを導入すれば「自動的に適用」できるため、担当者が一人ずつ設定を確認する手間がなくなります。
万一に備える:リモートロックとワイプ
中小企業の経営者が最も心配するのは、社員が 端末を紛失 したときのリスクです。
- リモートロック
→ 紛失が報告された時点で、管理者が遠隔から端末を操作不能にする。 - リモートワイプ
→ 必要に応じて端末内の業務データを完全削除できる。
例えば、営業担当者が移動中にスマホを落とした場合でも、すぐにロック・ワイプを実行すれば情報漏えいのリスクを最小化できます。これは「損害賠償」「信用失墜」といった企業リスクを未然に防ぐ最重要機能です。
位置情報の活用は「最小限」で
MDMでは端末の位置情報を取得できますが、ここは注意が必要です。
- 紛失・盗難時に端末を探す用途では有効
- しかし「社員の行動を監視する」ような過剰利用は逆効果
特に中小企業では「監視されている」と社員が感じるとモチベーション低下につながりやすいため、紛失時のみ活用するポリシー を推奨します。
アプリとOSの更新管理
セキュリティ事故の多くは「古いOSやアプリのまま放置」されることから発生します。MDMはこの課題に有効です。
- OSアップデート通知
→ 管理者が最新バージョンの配信状況を確認し、更新されていない端末を把握。 - アプリのバージョン管理
→ 業務で利用するアプリが最新かどうかを確認でき、必要に応じて強制アップデートも可能。
これにより「誰がどの端末を最新にしていないか」を一覧でき、IT担当者の確認作業が大幅に軽減されます。
コンプライアンス違反の検知
MDMのもう一つの基本機能が、ポリシー違反の検知 です。
例えば、
- パスコード未設定の端末を検知
- 脱獄(iOS)やルート化(Android)の端末をブロック
- 不正アプリのインストールを検知
といった制御が可能です。これにより「ルールに従っていない端末を早期に把握」し、インシデントを防げます。

導入時に注意すべき「過剰管理」
MDMには多くの機能がありますが、最初から全部を適用するのは逆効果になることがあります。
- 社員の自由度が低下し、「使いにくい」と不満が出る
- 運用ルールが複雑になり、IT担当者が逆に負担増
- 利用現場とのトラブルでMDMそのものが形骸化
そのため、まずは 必須のセキュリティ機能(ロック・暗号化・リモートワイプ)+OS/アプリ更新管理 に絞って始めるのが現実的です。
まとめ:基本機能を理解して“小さく始める”
本記事では、中小企業がまず押さえるべきMDMの基本機能を解説しました。
- ロックと暗号化で「持ち歩くリスク」を最小化
- 紛失時のリモートロック・ワイプで「最悪の事態」を防止
- OS・アプリの更新管理で「脆弱性放置」を防ぐ
- コンプライアンス違反検知で「ルール逸脱」を早期発見
MDMは機能が豊富ですが、最初から全て使う必要はありません。
「守るために最低限必要な機能」から導入し、運用しながら徐々に拡張する ことが成功のポイントです。
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