不正アクセスを見逃さない!ログ監視と攻撃検知で守るゼロトラスト運用

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ゼロトラストモデルの目的は、アクセスをただ制御するだけでなく、「何が起きているか」を常に把握し、異常を早期に検知・対応できる体制を持つことにあります。アクセスログ監視と異常検知はその中核です。攻撃者がパスワードを突破したり、内部不正が発生したりするケースを見逃さないよう、継続的な可視化とアラート設計が必要です。

本記事では、ログ監視・可視化の基本、Microsoft 365/Google Workspace での実施方法、サードパーティー/SIEM の導入例、段階的導入ステップ、運用上の注意点を整理します。

ログ監視と異常検知の基本概念

ログとは何か、なぜ重要か

「ログ」とは、システムやアプリケーションが記録する操作履歴・アクセス履歴・イベントの記録です。たとえばサインイン日時・IP アドレス・使用端末・ファイル操作・管理者権限操作などが含まれます。
ログ取得と適切な保管・解析により、不正アクセス、内部者操作、異常挙動を後から追跡し、リアルタイムに警戒できるようになります。

ログ監視/異常検知の重要な役割は次の通りです:

  • 不審なログイン(通常あり得ない時間帯・国からのアクセス)を検知
  • 管理者権限操作の異常履歴をチェック
  • 多数の認証失敗やパスワードリセット操作から攻撃兆候を発見
  • ファイル操作履歴(削除、大量ダウンロード、共有設定変更など)を把握
  • 制御ポリシー違反・規定逸脱操作をアラート化

ただし、ログ量は膨大になるため、すべてをリアルタイムで見ることは現実的ではありません。ノイズを抑えたアラート設計と、定期的レビューが不可欠です。

Microsoft 365 におけるログ取得・監視・異常検知方法

Microsoft 365 を利用している環境では、Microsoft 純正機能および SIEM/統合ソリューションとの連携で高度なログ監視が可能です。

ログ取得・統合方法

  • Unified Audit Log(統合監査ログ)
    Microsoft 365(Exchange、SharePoint、OneDrive、Teams、Azure AD 等)には統合監査ログ(Unified Audit Log)機能があり、ユーザー操作・管理操作・システム操作等を横断的に取得できます。
    監査ログの取得を有効化することが前提です。
  • 拡張ログ(Enriched Logs)
    Microsoft は最近、Global Secure Access ネットワークログと Office 活動ログを結びつけた「拡張ログ(Enriched Microsoft 365 Logs)」機能を提供しています。これは、端末情報、OS、IP 情報を付加してログを強化するもので、より詳細な分析を可能にします。
    拡張ログには、SharePoint 上のファイルのアップロード・ダウンロード・削除動作なども含まれます。
  • 診断/ストリーミング設定
    ログを Log Analytics ワークスペース、Azure Event Hubs、ストレージアカウント、またはパートナー SIEM にストリーミング/エクスポートする設定を行います。
  • SIEM 連携
    Office 365 Management API や各種コネクタを使用して、ログを SIEM/セキュリティ分析ツールに取り込む構成が一般的です。

例えば、Microsoft Defender for Office 365 の検知データを SIEM に統合表示させることも可能です。

異常検知とアラート設計

  • 事前定義ルール/シグネチャ
    多くの SIEM やログ分析ツールでは、「パスワード試行回数超過」「不正な IP からのログイン」「管理者設定変更」など定型的な異常パターンを検知するルールが標準で用意されています。
  • 行動分析/異常検知(UEBA)
    通常のユーザ行動パターンを機械学習で学習し、逸脱動作を「異常」として検知する方式です。たとえば、平常時とは異なる時間帯・国からのログインを「Impossible Travel(物理的に移動不可能な遠隔ログイン)」として検知するケースが典型例です。
  • クロスログ相関分析
    複数のログ(認証ログ、ファイル操作ログ、ネットワークアクセスログなど)を関連付けて分析することで、単一ログでは見えない攻撃手法を発見できます。
  • アラート設計と通知
    異常検知時に管理者・セキュリティ担当者へ通知を出す体制を設計します。Slack、メール、チケットシステム等と連携して即応可能にすることが望ましいです。
    重要度(Critical / High / Medium / Low)レベルの振り分けも設計段階で用意します。

Google Workspace におけるログ監視・異常検知

Google Workspace でも管理者向け監査ログや通知機能が提供されており、SIEM 連携による高度検知が可能です。

ネイティブログ機能と通知機能

  • 監査ログ(Audit Logs)
    Google Workspace 管理者は、Admin Console 上でユーザーアクティビティ、管理者操作、ファイルの参照・共有履歴、ログイン履歴、モバイルデバイスの操作履歴などを Audit Log として取得できます。
  • Alert Centre(アラートセンター)
    Google Workspace の管理コンソールには「Alert Centre」があり、不正ログイン、異常操作、データエクスポート、マルウェア検出などについてリアルタイムでアラートを発行できます。
  • ログの BigQuery エクスポート
    監査ログを BigQuery にエクスポートして、独自分析/クエリをかけたり、外部ツールと連携したりできます。

SIEM/セキュリティ分析連携

  • Google Security Operations / Chronicle
    Google は “Google Security Operations” という仕組みを通じ、Workspace ログを正規化して SIEM に取り込む機能を提供しています。
    Workspace のアクティビティログやアラートログ、モバイルデバイスログなどを直接連携することができます。
  • 外部 SIEM への転送
    Workspace のログをファイルストレージ(Cloud Storage バケットなど)にエクスポートし、そこから SIEM にインジェストする方式も取られています。
  • 異常検知シナリオ例
     - Impossible Travel(物理的に不可能なログイン移動)検知
     - 異常なファイルアクセス・大量ダウンロード
     - 管理者権限操作の突発的増加
     - 複数アカウントで同時ログイン

サードパーティー/SIEM 型ソリューション活用例

中小企業でも、最初から高機能な SIEM を導入するのはハードルが高いため、段階的に強化できる製品や運用サービスの活用がポイントになります。

SIEM/ログ分析系サービス例

  • Splunk / Splunk Cloud
    ログ収集・検索・異常検知が得意なプラットフォーム。Microsoft 365/Google Workspace とも接続可能。
  • Elastic SIEM / Elastic Stack
    オープンソース系でコストを抑えつつ、自社に合わせたルール追加が可能。
  • SaaS ベースのセキュリティ分析サービス
    Palo Alto Cortex XSIAM、CrowdStrike、Exabeam、Sumo Logic などがクラウド環境と連携しやすいソリューションを提供。
  • SOC-as-a-Service / マネージドセキュリティサービス
    ログ監視・異常検知・インシデント対応を外部プロフェッショナルに委託する方式。運用人員が限られる中小企業には現実的な選択肢となります。

導入パターン

構成パターン特長適する状況留意点
純正機能+軽量ログ集約コストを抑えつつ可視化を始めたい小規模環境、ログ量控えめ高度分析・相関には限界
SIEM 導入型相関分析・高度検知が可能成長フェーズ、セキュリティ強化期コスト・運用専門性の確保が課題
SOC-as-a-Service 型運用負荷を削減しつつ高度対応ログ設計・運用人員が不足外部委託先選定と SLA 設計が重要

段階的導入ステップと運用設計

以下は、中小企業でも実行可能なログ監視/異常検知導入のステップ案です。

  1. ログ取得対象の定義
     - まずは “必ずチェックすべきログ” を絞る(認証ログ、管理者操作、ファイル操作)
     - ログ取得がそもそも有効化されていない場合はオンにする
  2. 初期可視化とレポート設計
     - ログを管理コンソールや BI ツールで可視化
     - 月次/週次での傾向レビュー体制を設ける
  3. アラート設計(監査モード開始)
     - 事前定義ルールやシンプルな閾値ベースアラートを設定
     - 通知先・障害対応ルートを明文化
  4. SIEM/分析ツール導入(必要なら)
     - ログ集約・正規化・相関分析を担うシステムを導入
     - 初期ルールをベンダ提供または標準テンプレートで作成
  5. 異常検知強化(行動分析・相関分析)
     - UEBA 機能や異常スコアリング導入
     - 複数ログの相関分析ルール設計
  6. アラート運用改善とチューニング
     - アラートの誤検知/ノイズを削減
     - 運用レビューと定期改善を実施
  7. 対応フロー・インシデント対応設計
     - アラート発生時の初動手順、エスカレーション体制を構築
     - 再発防止のための原因分析プロセスを設計
  8. 継続レビューと改善
     - 新しい脅威やログ種別への対応を逐次追加
     - ログ保存期間・コスト・解析体制を見直す

まとめ:制御だけでなく“見える化”で強固な運用を

認可端末制御・データ出入力制御とあわせて、ログ監視・異常検知がなければ真の意味でのゼロトラスト運用とは言えません。
Microsoft 365/Google Workspace のネイティブログ機能を起点に、SIEM や外部分析ツールを段階的に導入することで、監視・可視化体制を強化できます。
最初は限定ログ範囲・簡易アラートから始め、ノイズ除去と運用改善を重ねながら高度な分析に拡張していくのが現実的な道筋です。

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