“つなぐ・ひろげる”データ活用で実現する現場DXと新しい価値

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の本質は、単なるIT化や業務効率化ではなく、「データ」を活用して現場やビジネスそのものの形を変え、新しい価値やサービスを生み出すことです。近年では、AIやクラウド、IoTなどデジタル技術の進化により、現場の小さなデータも経営やサービス全体に活かせる時代となりました。
このデータ活用には「社内DX」と「社外連携DX」の2つの方向性があります。
- 社内DX:社内の部門・拠点・現場間でデータを集約・共有し、業務全体を見える化・効率化・高度化すること。
- 社外連携DX:他社や異業種、取引先、行政などとデータを安全に連携・共有することで、新たな価値やビジネス、社会的課題の解決に結びつけること。
社内データ活用による現場DXのポイント
まずは社内のデータ活用によるDXから。たとえば、日報や売上、作業実績、在庫など、現場で日々生まれる多様な情報を部門間でつなぐことが第一歩です。
主な効果例
・バラバラだったExcelや紙の日報を一つのクラウド台帳に統一。最新版の情報がリアルタイムに共有され、転記ミスや集計作業が激減。
・経理・営業・現場が同じデータベースで情報連携し、請求や進捗、作業分析の手間やコミュニケーションコストが大幅に削減。
・Power BIやGoogle Data Studioを使い、部門横断でダッシュボードを作成。全社で「現場の状況」を可視化できるようになり、意思決定も迅速に。
具体的なIT活用例
kintoneやクラウド型データベースで日報・売上・在庫などを一元管理
Excel OnlineやGoogleスプレッドシートによるリアルタイムの共有台帳
Power BIやGoogle Data Studioによるダッシュボード作成
実践事例:
建設業A社では、現場の日報・工数管理をクラウドで一元化。経理や営業も同じシステムで情報共有し、請求・進捗・作業分析のスピードが大幅アップしました。

社外とのデータ連携によるDX
次のステップは、社外との連携です。自社のデータだけでなく、取引先やパートナー、異業種、地域・行政などと「安全に」データをやりとりし、新たな付加価値やビジネス、地域課題の解決につなげます。
APIやクラウドサービスを使った連携
社外とのデータ連携で近年重要となるのが、APIやクラウドサービスの活用です。
API(エーピーアイ)は「異なるシステム同士を自動でデータ連携するための“接続口”」です。たとえば販売管理ソフトと会計システム、在庫管理とECサイト、取引先との注文・納品データ連携など、APIを利用すれば手作業やCSVファイルのやりとりを減らし、リアルタイムで安全なデータ共有が実現します。
クラウドサービスは「インターネット上のサービス」で、社内外の関係者が場所を問わず同じデータにアクセス・編集できる仕組みです。複数企業での在庫管理や受発注、顧客管理などにも活用されています。
【具体例】
・卸売業がクラウド型販売管理システムと、会計クラウドサービスをAPIで接続。受注から請求・入金管理までを自動化。
・製造業が販売店や物流会社と、クラウドで出荷・在庫情報を共有。納期調整や在庫不足のトラブルを大幅に削減。
・サービス業が外部パートナーと日報・進捗情報をクラウドで共有。現場の進捗や顧客対応状況をリアルタイムで見える化。
APIやクラウドサービスの多くは「ノーコード」や「ローコード」で始められ、ITに詳しくない企業でもスモールスタートしやすいのが特徴です。

社外連携による効果・価値例
取引先や協力会社とのミスや連絡の手間が減少
在庫や納期トラブルの防止、顧客サービス向上
パートナー企業との新サービス創出、事業のスピードアップ
実践事例:社内・社外データ活用で生まれる現場DX
卸売業B社(社内DX)
各営業担当がバラバラに管理していた顧客・注文データをkintoneで一元化。APIで会計ソフトと自動連携し、受注~請求の流れが自動化。売上分析もリアルタイムで可能になり、営業と経理の連携ミスが激減。
製造業C社(社外連携DX)
生産現場・販売店・物流業者とクラウドサービスでデータ連携。生産・在庫・出荷情報がリアルタイムに共有され、急な注文や納期変更にも即応可能に。
異業種連携による新サービス創出
観光業と交通業がデータスペースを利用し、観光客の動向や需要データを分析。新しい観光プランや移動サービスを開発し、地域経済の活性化につなげた。
まとめ:データ活用は“社内最適”と“社外連携”の両輪で
データ活用によるDXは、まず「社内最適化」から始め、次に「社外連携」に広げることで、現場・経営・社会全体の課題解決や新しい価値創出につながります。
● 社内データ活用で、業務効率・見える化・現場力を高める
○ 社外データ連携で、新しいサービス・市場・地域課題解決を実現
はじめは小さな共有や効率化から。少しずつ「つなぐ・ひろげる」視点を持つことで、中小企業でも現場発のDXと新しい未来が実現できます。
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